トムソンベッドとは
トムソンベッドとは、カイロプラクティック技術の一つであるトムソンテクニックを行う際に使用される、専用の施術ベッドです。
「トムソンテーブル」と呼ばれることもあります。
一般的な平らなベッドとは異なり、頭部・胸部・腰部・骨盤部がそれぞれ独立した構造になっている点が大きな特徴です。
さらに、頸部や骨盤部は高さや角度を細かく調整できるため、身体の状態に合わせた、より繊細な施術が可能となっています。
施術時は、足踏みスイッチやレバーを操作して、対象となる部位を一度持ち上げ、そこへ軽く圧を加えます。
すると慣性の法則により、ドロップ部分が数センチだけ自然に下がる仕組みです。
この落下の力を利用することで、強い力を加えずに調整が行えるため、患者さま・施術者双方にとって負担の少ない施術が可能となります。
トムソンベッドの歴史
トムソンベッドは、トムソンテクニックを考案したJ・クレイ・トムソンの名に由来しています。
J・クレイ・トムソンは、太平洋戦争中にロックアイランドの兵器工場で勤務しており、その際に学んだ機械工学や金属加工の知識が、後のトムソンベッド開発に大きく活かされました。
初期のトムソンベッドは、手動でドロップ部を持ち上げる構造で、当時としては画期的な「ハイローテーブル」に搭載され製品化されました。
1950年代半ばには、脊椎全体の調整を可能にするため、骨盤部・胸部・腰部のドロップ機構が追加され、現在の形に近づいていきます。
その後、特許取得のためワシントンDCで何度も申請を行いましたが、当初は却下が続きました。
しかし粘り強い上訴の末、世界初のドロップ式カイロプラクティックテーブルとして特許が正式に認められました。
現在も改良が重ねられ、トムソンベッドは進化し続けています。
トムソンベッドによる施術の特徴
トムソンベッドは、骨盤や背骨の歪みに着目した施術に用いられます。
施術によって、次のような変化が期待されます。
1. 姿勢バランスを整えやすい
姿勢が整うことで、肩や首、腰への負担がかかりにくくなる傾向があります。
猫背や反り腰などの姿勢の乱れは、身体に余計な緊張を生みやすくなります。
壁に背中をつけたとき、後頭部・肩甲骨・お尻・ふくらはぎ・かかとが自然につき、
腰と壁の間に手のひら1枚分ほどの隙間がある状態が、理想的な姿勢の目安です。
2. 見た目の印象がすっきりする
姿勢が整うと、身体全体が引き締まって見えやすくなります。
姿勢の良さは、「健康的」「前向き」「自信がある」といった印象につながりやすい要素の一つです。
反対に、姿勢が崩れていると、疲れて見えたり、元気がなさそうな印象を与えることもあります。
3. 呼吸がしやすくなり、心身が落ち着きやすい
姿勢が整うことで、胸郭が広がりやすくなり、自然と深い呼吸がしやすくなります。
呼吸が浅くなると、集中力の低下や緊張状態が続きやすくなりますが、
ゆったりとした呼吸を意識することで、心身が落ち着きやすくなります。
トムソンベッドはこんな方におすすめ
トムソンベッドは刺激が少なく、幅広い方に対応できる施術法です。
特に以下のような方におすすめです。
1. 体格の大きい方
体格に左右されにくい構造のため、無理な力を加えることなく施術が行えます。
2. 痛みがあり、体勢の変化がつらい方
寝た状態のまま施術が進められるため、体を動かす際の負担が少なくなります。
3. 強い刺激が苦手な方
「バキバキする施術が怖い」という方にも、比較的やさしい刺激で行えるのが特徴です。
4. 横になるのが難しい方
立った状態からでも対応できる構造のため、横になることが難しい方にも配慮されています。
患者さまにとってのメリット
トムソンベッドは、身体に余計な力を加えず、体重と重力を活かして調整を行う施術ベッドです。
そのため、身体への負担が少なく、短時間でも効率的に施術を行いやすい点が特徴です。
刺激が不安な方や、初めて施術を受ける方にも取り入れやすい方法といえるでしょう。
