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難聴と認知症の関係

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難聴と認知症には密接な関係があり、難聴は認知症発症のきっかけ、または悪化の要因となり得ることが、近年の研究で強く指摘されています。

2020年の世界的な医学誌『ランセット』の報告では、「予防可能な認知症の12の要因の中で、難聴は最も大きな危険因子である」とされています。

難聴を放置せず対策することで、認知症のリスクを大幅に減らせる可能性が注目されています。

難聴が認知症のリスクを高める主な理由

難聴が認知症につながるメカニズムについては、主に以下の2つの仮説が有力視されています。

1. 認知負荷仮説(Cognitive Load Hypothesis)

  • メカニズム: 聞こえにくい状態が続くと、音や会話を聞き取るために脳が常に過剰なエネルギーを使わなければなりません。
  • 影響: 本来、記憶や思考など高次な知的作業に使われるべき脳のリソースが「聞き取り」に費やされてしまうため、脳が疲弊し、他の認知機能(思考、記憶など)の働きが低下します。

2. カスケード仮説(Cascade Hypothesis)

難聴から認知機能の低下へ至る負の連鎖(カスケード)が起きるという考え方です。

  • 脳への刺激の減少: 耳から脳へ伝わる音の刺激や情報量が減少し、聴覚に関わる脳の領域の活動が低下したり、脳の萎縮が進みやすくなることが報告されています。
  • 社会的な孤立: 会話が困難になることで、人との交流や外出を避けるようになりがちです。これにより、社会的孤立や抑うつ状態に陥り、これらもまた認知症の危険因子となります。

難聴の程度と認知症リスク

アメリカの大規模調査などでは、難聴の程度が重くなるほど認知症のリスクが高まることが示されています。

  • 軽度難聴の人でも、聴力が正常な人に比べて認知症発症リスクが約2倍
  • 中等度難聴では約3倍
  • 重度難聴では約5倍

難聴は加齢とともに増加しますが、「年のせい」と諦めずに、早い段階で適切な対策を講じることが、認知症予防に直結すると考えられています。

重要な対策:補聴器の活用

補聴器を適切に使用することで、脳に適切な音の刺激が送られ、会話への参加が増えるため、認知機能の低下リスクを抑制する可能性があるという研究結果も出ています。

難聴の自覚がある場合は、耳鼻咽喉科の「補聴器相談医」などに相談し、聴力検査を受け、適切な対策を取ることが大切です。

老人性難聴と認知症リスクの関係

1. 老人性難聴の初期の特徴

老人性難聴は、通常、内耳にある音を感知する細胞(有毛細胞)の老化や神経の変性によって起こります。

  • 初期症状: 低い音域よりも高い音域(子音や女性・子供の高い声など)から聴力が低下し始めます。
  • 会話への影響: 高い音域が聞き取れないと、言葉の識別が難しくなります。「し」「き」「ち」「す」といった子音が高音域に含まれているため、「さかな」が「たかな」のように聞こえたり、単に音が小さく聞こえるだけでなく、言葉がゆがんで(ひずんで)聞こえるようになります。その結果、会話の中で「聞き返す」ことが増えます。

2. 高音域難聴が認知機能に与える影響

加齢に伴う高音域の難聴であっても、前述したような認知症のリスクを高めるメカニズムが働くと考えられています。

  • 認知的負荷の増大(聞き取り疲れ):高音域の不足により、脳は聞き取れない言葉を推測し、言葉の意味を理解するために過剰なエネルギー(認知リソース)を使わなければなりません。これが、記憶や思考などの高次な認知機能に使えるリソースを奪い、脳を疲弊させます。
  • 脳への刺激の減少と萎縮:音の情報量が減少することで、音を処理する脳の領域(聴覚皮質)への刺激が不足し、その結果、脳の萎縮が進みやすくなることが研究で示唆されています。特に、記憶に関わる脳の部位である海馬の容積の縮小と難聴との関連が指摘されています。
  • 社会的孤立:「聞き間違い」や「聞き返す」ことが増えると、会話が面倒になり、人との交流を避けるようになります。社会的活動の減少は、脳への刺激不足につながり、うつ状態や社会的孤立を通じて認知症のリスクを高めます。

重要な対策:早期の対応

加齢に伴う高音域の難聴は、多くの人にとって避けられない変化ですが、「年だから仕方ない」と放置すると、認知症リスクや生活の質の低下を招く可能性が高まります。

  • 定期的な聴力検査: 40代後半以降は、聞こえにくさを自覚していなくても定期的な聴力検査を受けることが推奨されます。
  • 補聴器の早期活用: 軽度〜中等度の難聴であっても、補聴器を早期に装用し、脳に適切な音の刺激を送り続けることで、上記のリスクを抑制できる可能性が示されています。

加齢による難聴は、単なる「聞こえの問題」ではなく、「脳の健康」に関わる重要な問題として捉える必要があります。

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