熱中症とロキソニン
お知らせ在宅訪問事務所
熱中症が原因で頭痛が起きることがありますが、この痛みを止めるためのロキソニン(ロキソプロフェン)などのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用は原則として禁忌とされます。
理由は、以下のような身体への悪影響が重なる危険性があるからです。
【1】腎臓への負担が増す
NSAIDsは腎血流量を低下させる作用があります。
熱中症では脱水によってすでに腎臓の血流が低下しており、そこにNSAIDsを使うと急性腎障害(AKI)のリスクが一気に高まります。
【2】消化管出血や胃潰瘍のリスクが上がる
NSAIDsは胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑えるため胃が荒れやすくなり、胃痛や消化管出血のリスクがあります。
熱中症では体調が全体的に悪化しているため、こうした副作用が出やすくなります。
【3】脱水との相乗効果で全身状態が悪化
脱水・高体温により体液バランスや電解質の異常がすでに生じている状況でNSAIDsを使うと、さらに循環不全や意識障害などを引き起こす恐れがあります。
代わりにどうするかと言えば、まずは体を冷やして、経口または点滴で水分・電解質を補給することが第一です。
どうしても鎮痛薬が必要な場合、腎機能や全身状態を見ながらアセトアミノフェン(カロナールなど)が選ばれることがありますが、これも安易に使うべきではなく、医療機関での判断が必要です。